子育て(育児)が大変!悩みと子どもに対するイライラを解決する「受容」


子育てが大変!!
「子どもが言うことを聞いてくれない!」
「子どもの困った行動を何とかしたい!」
「育児や仕事、家事の両立で毎日余裕がなくてイライラしてしまう」

そんな悩みを解決する方法をプロの保育技術「受容」を通してご紹介します。
毎日、一生懸命育児に励むお母さんの悩みを、保育士の専門技術や知識をお伝えすることで、少しでもお力になれればと思います。

今回は、アドラーの心理学から応用した内容となっています。子どもの困った行動には、全て『意味』があるのです。

それでは、受容とはいったいなんでしょう?

受容とは、保育技術の一つで、ありのままの子どもの姿を受け止める事です。
例えば、子どもがごはんの時に立ち歩く、言うことを聞かない、泣き叫ぶなどついお母さんが眉をひそめてしまう行動も、お母さんににっこり笑ったり、挨拶をしたり、苦手なものを食べるなどの微笑ましい姿も、全て同じようにまるごと受け止めるということです。
受容することは、普段子どもと関わる中で、何気なくお母さんが行っていることもあります。
何気なく行っている受容を、より理解し意識して行うことで、子どもの姿やお母さんの気持ちに変化が出てくると思います。

そもそもどうして子どもは、問題行動を起こすのでしょうか。

子どもの困った行動の理由とは、ずばり、親の注目を集めること!
子どもは普通に生活していても親の注目を得られず、困った行動をした時だけ、怒られたり叱られたりすることで注目してくれると思ってしまいます。
つい、「あれは、だめ!これは、だめ!」と言ってしまい、怒ることにも疲れますし、怒った後に、怒りすぎたと反省しての繰り返しですよね。お母さんのその気持ちは痛いほどよくわかります。でも、一度逆の立場になって考えてみてください。旦那様に、「〇〇はするな!」と毎日言われたら嫌になりますよね。それは、子どもも同じで、信頼している大切なお母さんに言われると子どもも悲しくなってしまいます。
子どもは、お母さんが大好きです!いつでも自分のことを見ていてほしいんですね。そう考えると益々、愛おしく感じます。
日常の中で、子どもの困った行動は、反応せず「無視」(見ない、言葉もかけない)するとその問題行動はだんだんと減少します。その逆に「当たり前のようなこと」、「できていること」に注目・反応してみましょう。

子どもの困った行動がなくなる!?「魔法の言葉」をご紹介!

大事なことは、怒らず問題行動は無視する(問題行動したから声をかけてもらえた。「成功した!」と思わせない)事と、その行動したくなった気持ちを受け入れ(受容)以下の魔法の言葉を使ってみる事です。

子どもがおもちゃを投げる

「なんで投げるの?投げたらだめでしょ!何回言ったらわかるの!」と、ついついイライラ。何度注意しても子どもは、なんでも投げてしまい、困り果ててしまいますよね。保育園でも同じ光景を何度も目にしたことがあるので、お母さんのその気持ちはよくわかります。ただ、頭ごなしに怒っても、子どもはただ怖いと思うだけで、効果はありません。
投げてしまう子どもの気持ちを考えてみましょう。
子どもはおもちゃを投げてはいけないとわかっていないかもしれません。ボールは投げていいのに、なぜこのおもちゃは投げたらだめなの?と思っています。また、遊び方を知らない子どももいます。もしくは、「お母さん、一緒に遊んでよ!」「私の方を見てよ!」と、お母さんの注目を得たいのが目的かもしれません。
お母さんは、子どもがおもちゃを投げずに遊んでほしいですよね。

では、魔法の言葉を使ってみましょう!

魔法の言葉①「積み木はね、こうやって、高く積んだり横に並べたりして遊ぶのよ。」

遊び方、理想の姿を伝える方法です。
例えば、積み木を投げる場合は、大人がおもちゃの本来の遊び方を丁寧に教えます。実際に一緒に遊んでみてやり方を伝え、遊べた時は、「積み木、高く積めたね!」と子どもの遊んだ姿を言葉で「〇〇できたね」と伝えてあげてください。遊び方を伝えるだけで、そのおもちゃに興味を持ち、集中して遊ぶことができると思います。
また、投げることが楽しくて、投げる遊びをしたい場合は、思い切り遊ぶことができる、ボールや新聞紙を丸めたボールを渡してみるのもいいですね。

魔法の言葉②「おもちゃを投げるとお母さんに当たって痛くて悲しいな」

「私は」から始まる言葉(Iメッセージ)を伝える方法です。
お母さんに積み木が当たり、痛いときなどお母さんの気持ちを素直に伝えることも大切です。注目してほしいという子どもの気持ちを汲み取り、言葉で伝えてあげることで、安心して投げずに遊ぶことにつながります。

魔法の言葉③「このボールをころがしてみようか」

代替えを提案する方法です。
遊び方は理解しているのに、投げてしまうのは、お母さんの注目を集めたいからです。そんな時は、投げたことに「わあ!」「えっ!」と過剰に反応しないようにしましょう。

危ないところに登る

「そこに登ったらだめって言ってるでしょ!危ないじゃない!まったくも~。」と、つい声を荒げてしまいますよね。子どもはあらゆるところに登ろうとするので、いけないことと何度注意しても同じことの繰り返しで、感情的になってしまいますよね。
高いところに登る子どもの気持ちを考えてみましょう。
おもちゃを投げてしまうことと同様に、登ってはいけないとわかっていないかもしれませんし、親の気を引くための行動かもしれませんね。
もしくは、好奇心旺盛の子どもは、高いところに登ることが魅力的なんだと思います。例えば、お父さんやお母さんに高い高いや抱っこをされると喜びますよね。子どもは、高いところが大好きです!
お母さんは、子どもに登ってほしくないところに登らないでほしいですよね。
そこで、魔法の言葉を使ってみましょう!

魔法の言葉①「そこは、ごはんを食べるところだから、降りようね。」

理想の姿を伝える方法です。
例えば、机の上に登っている場合は、なぜここは登ったらいけないのかをきちんと伝えてみてください。「〇〇したら、だめ!」と伝えても効果がないため登ることを止めず、お母さんもどんどんイライラしてしまいますよね。禁止語ではなく、「〇〇しようね」と肯定的に伝えてみましょう。

魔法の言葉②「机は、みんなでごはんを食べるところだから、〇〇ちゃんが登るとお母さんは困るなあ。」

「私は」から始まる言葉(Iメッセージ)を伝える方法です。
お母さんの気持ちを、素直に伝えてみてはいかがでしょうか。
また、先ほどお伝えしたように、子どもは高いところに登るのが大好きです。お母さんも小さい頃に高いところに登った思い出はありませんか?誰しもが小さい時に、経験しているのではないでしょうか。そこで、登りたい!という子どもの好奇心を大切にするために、危険のない登っても大丈夫な所を作ってみてはいかがでしょうか。やりたいことを思い切りできる環境を整えてあげるのも一つの手ですね。

魔法の言葉③「〇〇してあそぼう!」

代替えを提案する方法です。
〇〇にはボールあそびでも積み木でもおいかけっこでもなんでも構いません。あそびを提案することで結果的に危ないところから降りることに繋がります。

食べ物に好き嫌いがある

「また、ピーマンだけ残して!好き嫌いはだめよ!一口でいいから早く食べなさい!」と、せっかく子どものために、栄養のバランスを考えて、忙しい中作ったのに、食べてくれないと悲しいですよね。子どものためにと思っても食べてくれないと、作りたくなくなりますよね。
では、好き嫌いをする子どもの気持ちを考えてみましょう。
子どもは、大人には感じないような味を敏感に感じています。大人は子どもの半分しか味覚を感じることができません。そのため、子どもは苦味や酸味を敏感に感じ、ピーマンを食べないで口から出してしまうのも当然のことなのです。ですが、一口でも食べてほしいのが親心ですよね。

そんな時は、こんな魔法の言葉はどうでしょう。

魔法の言葉①「ピーマンおいしそうだな、食べてみよ パクッ あーおいしい!!」

食事のすすめ方、理想の姿を見本を見せて伝える方法です。
子どもはまねをすることが大好きです。ただこれだけでは食べない子どももいると思います。
本人が嫌がっているのに食べさせると嫌な印象が強くなってしまいます。無理に食べさせるのではなく、まずその食材に興味を持てるような声のかけ方をしてみてはいかがでしょうか。
もし、少しでも口に入れようとするしぐさがあれば、大いに認めてあげてください。怒らずに、少しずつ少しずつ前向きな言葉で励まし、食事の時間が楽しいと思えるようにしていくことで、食べてみようという気持ちになると思います。

魔法の言葉②「食べてくれるとお母さんとっても嬉しいな。」

「私は」から始まる言葉(Iメッセージ)を伝える方法です。
率直なお母さんの気持ちをぜひ伝えてみてください。今すぐには食べないかもしれませんが、お母さんの気持ちがいつか届き、時期が来れば食べられるようになるという大らかな気持ちで見守っていきましょう。
逆にせっかく作ったのに食べてくれないと腹を立てるとよくありません。ごはんの時間自体が嫌いになってしまう事もあるので気をつけましょう。

保育士の多くは、『受容』を心掛けています。

保育士の話を聞かずに騒いでいる子や、大人の注目が欲しくてわざと茶化したりする子、座っていられずにあちこち立ち歩いてしまう子、走り出してしまう子などがいた場合、「話を聞けるようにしなければ」「参加できるようにしなければ」と「○○できる」を第一に考えていくと、子供のそういった姿を注意したり、連れ戻したりすることばかりが増えていき、「押さえつけ」を強めていくことだけになってしまいます。
そこで、「受容」することがもっとも大切になってきます。
例えば、子供は、大人に追いかけられることが大好きです。なぜなら、自分が大人に注目されているという強い実感を感じることができるからです。それは、その子が不足している「受容してほしい」という欲求を満たすことにつながります。
その追いかけっこをして「楽しい」という実感を持てれば、それをしてくれた保育士への信頼関係を高めていきます。それが十分に確保された後であれば、”大人が話をする間、座って注目して聴ける”といったことも自然と可能になります。
保育士は、その子を笑顔であたたかく受け止めたり、かわいがったりする「受容」という名の「プラスの関わり」を常日頃から心がけています。

まとめ

子どもは、親の注目を集めたくて問題行動をおこしてしまいますが、その気持ちを受け止め(受容)、出来ていることや当たり前の行動に注目し、肯定的な声掛けをすることで、困った行動が少しずつ減っていきます。そして、安心感を得ることができ、本来持っている力をぐんぐん発揮していきます。
良いことは〇、悪いことは×、できたことは〇、できなかったことは×という見方ではなく、子どものありのままの姿をまるごと受け止めること。これが、受容です。
完璧にしなくても大丈夫です。一度、やってみませんか?きっと、イライラした表情が、自然と笑顔になることが増えていくと思います。
これからも、私たち保育士は、子育てに一生懸命なお母さんと一緒に、子どもたちの成長の瞬間を大切に見守っていきたいですね。

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